
院長:高木お気軽にご相談ください!
最近「タミータイム」という言葉をよく聞くようになりましたが、赤ちゃんをうつぶせにする遊びが本当に安全なのか、不安に感じていませんか。SIDS(乳幼児突然死症候群)のことを考えるとこわいけれど、うつぶせ遊びが発達や頭の形に良いと聞くとやらなきゃいけない気もして、心がざわざわしてしまいますよね。
そんなときは、一度頭の形のページも合わせて読んでみてください。この記事では「うつぶせ遊びは危険なのか、それとも危なくないのか」というモヤモヤを整理しながら、頭の形ケアともつながる安全な始め方をお話ししていきます。


「これで合っているのかな」とドキドキしながらうつぶせ練習をしていた気持ちを思い出しつつ、今悩んでいるママの不安に寄り添える記事にしたいと思っています


うつぶせという言葉を聞くと、まず頭に浮かぶのは「突然死がこわい」「窒息しないか心配」というイメージではないでしょうか。赤ちゃんの寝かせ方としてのうつぶせが事故と関連することがある、という情報だけが強く印象に残ってしまい、遊びの時間のうつぶせまで全部危険に思えてしまう、そんな声をよく耳にします。
実際には、赤ちゃんが起きているときに大人がそばで見守りながら行ううつぶせ遊びと、眠っている間のうつぶせ寝とは、目的もリスクもまったく別のものです。この違いをきちんと切り分けて理解しておくことが、「怖くて何もできない」と「条件を整えて安心してやってみる」の分かれ道になると感じています。
うつぶせ遊びは、赤ちゃんにとって首や背中、腕やお腹の筋肉をバランスよく使うためのとても良い機会になります。仰向けのままだと重力に対して受け身になりがちですが、うつぶせになることで自分から頭を持ち上げようとしたり、手で床を押してみたりと、能動的な動きが増えていきます。
その積み重ねが首すわりや寝返り、はいはいなどの発達ステップにつながっていきますし、同じ向きで仰向けに寝ている時間が減ることで、頭の同じ場所だけに圧がかかり続けるのを防ぐという意味でも、頭の形を守るうえで大切な役割を果たしてくれます。 一方で、やり方や環境を間違えてしまうと、赤ちゃんにとって苦しかったり、まれに危険な状況につながってしまうこともあります。
だからこそ、大切なのは「うつぶせ遊びそのものが良いか悪いか」という二択ではなく、「どうすれば危なくないのか」「うちの子に合ったやり方は何か」を一緒に考えていくことだと思うのです。ここから先は、うつぶせ遊びの良い面と注意したい点を整理しながら、具体的な始め方についてお話ししていきますね。
うつぶせの姿勢では、赤ちゃんは自然と頭を持ち上げようとするので、首の筋肉や背中の筋肉がよく働きます。こうした体験の積み重ねが、首がしっかりと安定していく土台になっていきます。
さらに、首が安定してくると、今度は肩周りや体幹の筋肉が動きやすくなり、寝返りやずりばい、はいはいへとつながっていきます。あお向けのままでも発達は進みますが、うつぶせの経験が多いお子さんほど、からだ全体を使う動きがスムーズになる印象があります。
もちろん個人差はありますが、「まだ寝返りができないからうつぶせは早い」というわけではなく、むしろ寝返り前の時期から少しずつうつぶせ遊びに慣れておくことが、次の発達のステップを助けてくれます。短い時間からでも、毎日の生活に上手に取り入れていきたいですね。
うつぶせ遊びは、頭を持ち上げたり支えたりするために首・肩・背中・お腹・腕・脚まで全身の筋肉を使うので、首すわり・寝返り・はいはいなどの土台づくりに役立ちます。また、仰向けで同じ向きばかり見ていると後頭部の一部に圧が集中しがちですが、うつぶせ時間が増えると後頭部が床から離れるため、頭の形のゆがみや向き癖の予防・軽減にもつながります。
さらに視界が変わることで床やおもちゃ、大人の表情などさまざまな刺激を受けやすくなり、感覚や認知の発達を促す効果も期待できます。赤ちゃんと目線を合わせて声をかけやすい姿勢なので、親子のスキンシップやコミュニケーションが増えることも大きなメリットです。
大事なのは、「起きている時間に大人がすぐそばで見守り、硬めで安全な場所で、短時間から行うこと」です。
特に首の力が弱い時期の赤ちゃんは、自力で顔の向きが変えられないことが殆どです。柔らかい寝具やマットレス、クッションなどの顔が沈んでしまいそうな場所では窒息の危険が高まります。また、うつぶせのまま眠ってしまいそうな時は仰向けに戻し、周囲には何も置かないようにすることが望ましいです。
そして、何よりも大人が必ず目を離さないことが大切です。お手洗いや、ちょっと隣の部屋へ物を取りに行くなどの短時間であっても仰向けで待ってもらいましょう。
ずっと仰向けの状態でいると、どうしても後頭部への圧力が長時間になってしまいます。首を自由に動かせず、小泉門が柔らかい時期は特に頭の形の変形が進みやすくなってしまいます。そのため、うつぶせで遊ばせることは、頭の同じ場所へかかる圧力を減らし、頭の形の予防や改善に役立つ時間となります。
また、うつぶせでは頭を持ち上げたり左右に動かしたりするため、首や背中の筋肉がバランスよく鍛えられます。その結果、左右の筋肉バランスが良くなり、向き癖の改善にもつながります。
時間を短くする、場所を変える、大人の胸の上からやり直すなど床の上でうつぶせにすると、視界ががらりと変わって不安になる赤ちゃんも少なくありません。そんなときは、まずママやパパの胸の上を使ってみるのがおすすめです。大人が仰向けになり、その上に赤ちゃんをうつぶせ気味にのせてあげるイメージです。
顔を近づければ、赤ちゃんは安心できる大人の表情をすぐに確認できますし、声かけもしやすくなります。目を合わせながら歌をうたってあげたり、おしゃべりをしたりすると、赤ちゃんにとっても楽しい時間になりやすいです。
こうしたスキンシップを通してうつぶせの感覚に慣れてきたら、少しずつマットの上でも挑戦してみましょう。最初から完璧にやろうとせず、「抱っこの一種」と考えてもらうと気持ちがラクになると思います。
うつぶせにした途端に顔を真っ赤にして強く泣き始める場合は、その時点でいったん終了して大丈夫です。嫌がっている時間を無理に引き延ばしてしまうと、うつぶせそのものが「嫌なもの」として記憶されてしまい、次からさらに難しくなってしまうことがあります。
最初は数秒しかできなくても、その短い時間の中で「今日もよく頑張ったね」と声をかけて終わりにしてあげてください。その積み重ねが、赤ちゃんの自信にもつながっていきます。同時に、ママやパパが「これくらいでやめてもいいんだ」と思えると、気持ちもぐっとラクになります。
「うつぶせにすると危ない」とうつぶせで遊ばせることを避けてしまうのはとても勿体ないです。悩まれてれる方は安全な状態で、少しの時間からでいいのでスタートしてみてくださいね。



