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タミータイムでおもちゃを前に置いたのに、赤ちゃんがどんどん後ろに遠ざかっていく——そんな様子を見て「逆方向に進んでいる」と戸惑ったことはありませんか。「そろそろずりばいが始まる月齢のはずなのに、なぜ後ろにしか動かないのだろう」という疑問と不安が重なって、検索されている方も多いと思います。
赤ちゃんがうつ伏せで後ろに下がる動きは、多くの場合ずりばいへ向かう発達の過程で自然に見られるステップの一つです。ただ、後退が長く続く・体の片側だけに偏りがある・腕の力や足の蹴りに左右差があるという場合は、体のバランスを確認することが大切です。
この記事では、うつ伏せで後ろに下がるメカニズムと発達的な意味、後退が続く場合の原因、そして前進するずりばいへの移行を促す関わり方についてお伝えします。


後ろに下がる理由が分かると、今何をしてあげればいいかが見えてきます。
赤ちゃんがうつ伏せで後ろに下がってしまうのには、体の発達の順序と筋力のアンバランスという明確な理由があります。「前に進もうとしているのに逆方向に動く」というのは一見不思議に見えますが、体の使い方の発達段階を知ると自然なことだと分かります。まずは後退が起きるメカニズムを理解することが、適切な関わり方への第一歩です。
うつ伏せで体を前に進めるずりばいには、腕で地面を押す力と足で地面を蹴る力の両方が必要です。発達の順序として、腕(上半身)の力は足(下半身)の蹴る力よりも先に育ちます。腕で地面を押す力はあっても足がまだ地面を蹴れない段階では、腕の押す力だけが働いて体が後方に押し出されてしまいます。これが「前に進もうとして後ろに下がる」というメカニズムの正体です。
腕で力強く地面を押せるようになったことの証拠でもあるため、後ろに下がってしまう事が始まるのは、ずりばいへの準備が整いつつあるサインと見ることもできます。うつ伏せで後ろに下がる動きが見られるようになったら、足の蹴る力を引き出す関わりを始めるタイミングです。後退の段階で足への適切な刺激を与えることが、前進するずりばいへの移行を促します。
後退移動はずりばい前の正常なステップですが、生後8〜9ヶ月以降も前に進む気配が全くない・後退しか見られない・体の片側だけに偏りがある、という場合は体のバランスや筋力の課題が関係していることがあります。「もう少し待てば自然に進むようになる」と思って様子を見続けていても、体の偏りが定着していると自然には改善しにくいこともあります。
後退が続く最も多い理由は、足で地面を蹴り出す力がまだ十分に育っていないことです。足の蹴る力は、うつ伏せで遊ぶ時間の積み重ねや、足の裏への刺激・股関節を使う遊びの中で育っていきます。タミータイムの時間が少なかった・常に仰向けやバウンサーで過ごすことが多かったという場合は、足の力が育ちにくい環境になっていることがあります。
向き癖が続いていた赤ちゃんでは、体幹の筋肉に左右差があることが多く、後退する方向や腕の使い方に偏りが見られることがあります。体の左右差がある状態でずりばいへ移行すると、得意な側だけを使った非対称なずりばいになりやすく、その後のハイハイや歩行にも偏りが引き継がれることがあります。後退の段階で左右差に気づいたときが、体のバランスを整える最適なタイミングです。
骨盤に傾きがある場合、うつ伏せの姿勢で体重が均等にかからず、足の蹴り出す力が地面に伝わりにくい状態になることがあります。腕の力は十分あるのにいつまでも後退だけが続くという場合は、骨盤のバランスが影響している可能性があります。
うつ伏せで後ろに下がる段階から前進するずりばいへの移行を促すために、日常の関わりの中でできることがあります。足の蹴る力を引き出す刺激と、体の左右を均等に使う環境を作ることが中心になります。毎日少しずつ続けることで、赤ちゃんの体に「前に進む」という感覚が育っていきます。
赤ちゃんがうつ伏せでいるとき、足の裏に手のひらをそっと当てて軽く押します。この刺激に反応して足で押し返そうとする動きが、地面を蹴って前に進む力のきっかけになります。強く押す必要はなく、「手を当てる」程度の軽い接触で十分です。おむつ替えのついでに足の裏をさすったり押したりする習慣も、足への感覚入力として効果的です。
ママが赤ちゃんの足を交互に曲げ伸ばして地面を蹴るような動きを誘導しながら、前方においたおもちゃへ向かう動きを補助します。前に進んでおもちゃに触れるという成功体験を繰り返すことで、赤ちゃんの体に「前に進む」という運動パターンが入りやすくなります。
細長く丸めたバスタオルをお腹の下に横向きに置き、少しお尻が上がった状態にすると足が地面につきやすくなり蹴り出しやすい姿勢になります。この体勢でおもちゃを前方に置いて誘うと、前進するずりばいの動きが出やすくなります。赤ちゃんが嫌がらない程度の高さに調整してください。
向き癖が長く続いていた・後退の左右差が強い・セルフケアを続けても前に進む気配が見えない、という場合は体の土台から整えることを検討してみてください。後退が続く背景に骨盤の傾きや体幹の左右差がある場合は、骨盤・背骨のバランスを整えることで足への力の伝わり方が均等になり、ずりばいへの移行がスムーズになることが多いです。当院では施術後にご自宅でできるホームケアもお伝えしていますので、毎日のタミータイムと組み合わせて実践していただけます。
「前に進まずに後退するだけ」という様子を見て焦りや不安を感じていたとしたら、まずは後ろに下がってしまうメカニズムを知って少し安心していただけたなら嬉しいです。後退はずりばいへの準備段階ですが、体の左右差や骨盤のバランスが気になる場合は早めに確認してあげることが、その後の発達をスムーズにつなげることにもなります。足の蹴り方のこと、後退の左右差のこと、ずりばいがなかなか始まらないことなど、どんなことでも一人で悩まずにいつでもご相談ください。

