
院長:高木お気軽にご相談ください!


夜中にふくらはぎが激しくつって目が覚めた経験、妊娠中に初めてした方も多いのではないでしょうか。「また来るかも」という恐怖感で、眠る前から緊張してしまうという方もいらっしゃいます。
妊娠中に足がつる・こむら返りが起きやすくなるのには、妊婦さん特有のいくつかの理由があります。「よくあること」で片付けられてしまうことも多いですが、仕組みを理解して適切なケアをすることで、頻度を減らすことは十分できます。


今日からできる予防法を一緒に整理していきましょう
妊娠前はあまり足がつらなかった方でも、妊娠中期以降に急に頻繁につるようになることはよくあります。これは妊娠による体の変化が複合的に重なっているためです。どの原因が自分に当てはまるかを把握することで、対策の方向性も変わってきます。原因は一つではなく、様々な要因がからんでいます。
筋肉の収縮と弛緩にはマグネシウムやカルシウムが深く関わっています。妊娠中は赤ちゃんの骨格形成のためにこれらのミネラルの需要が高まる一方で、食事からの摂取が追いつかなくなることがあります。マグネシウムが不足すると筋肉が弛緩しにくくなり、こむら返りが起きやすくなります。
納豆・豆腐・ひじき・ナッツ類・バナナなどにマグネシウムが多く含まれています。毎日意識して取り入れることが予防の基本になります。
妊娠が進むにつれて大きくなった子宮が、骨盤内の大静脈を圧迫します。この圧迫によって下半身への血液の戻りが悪くなり、足の血行不良とむくみが起きやすくなります。血行不良は筋肉への酸素・栄養供給を低下させるため、こむら返りが起きるリスクを高めます。特に仰向けや長時間同じ姿勢でいる時に圧迫が強くなるため、夜中につりやすいのはこの影響が大きいです。
妊娠中は血液量が増加する一方で、水分不足になりやすい状態でもあります。電解質のバランスが崩れると筋肉の収縮コントロールが乱れ、つりやすくなります。また体重増加による下肢への負担増加が、ふくらはぎの筋疲労を蓄積させてこむら返りの引き金になることもあります。
妊娠中はホルモンの影響で骨盤周辺の靭帯が緩み、骨盤のバランスが崩れやすくなります。骨盤が傾いたり開いたりすることで、脚全体の筋肉の使い方に左右差が生まれ、一方のふくらはぎに負担が集中することがあります。こむら返りがいつも同じ側の脚に起きるという場合は、骨盤・脚のバランスの乱れが深く関係している可能性があります。
激痛で目が覚めた瞬間、パニックになってしまうこともあると思います。でも正しい対処を知っておけば、痛みを早く和らげることができます。やってはいけないこと・効果的なことをあらかじめ把握しておきましょう。いざという時に体が自然に動けるよう、頭に入れておいてください。
まず無理に立ち上がらないことが大切です。転倒のリスクがあります。仰向けのまま、つった脚の爪先をゆっくり自分の方向(すね側)へ引き寄せるようにストレッチします。痛くても急に引っ張らず、ゆっくりと伸ばしていくことが重要です。痛みが引いてきたら、ふくらはぎ全体を手のひらで優しくさすって血行を促します。
つった瞬間に爪先を伸ばす(足首を底屈させる)方向に力を入れると、筋肉がさらに収縮して痛みが増します。また無理に立ち上がってストレッチしようとすることも転倒リスクがあるため避けてください。マッサージは痛みが引いた後に行うもので、痛みのピーク中に強く揉むと筋肉を傷めることがあります。
こむら返りは「起きてから対処する」より「起きないように予防する」方が、はるかに生活の質が上がります。すべてを一度に始める必要はありませんが、特に就寝前のケアと水分補給は今夜からでも実践できます。自分の生活スタイルに合わせて、取り入れやすいものから始めてみてください。
立った状態で壁に手をつき、後ろ足のかかとを床につけたまま前傾してふくらはぎを30秒ゆっくり伸ばします。妊娠後期でバランスが取りにくい場合は、椅子に座って足首をゆっくり上下・左右に回すだけでも効果があります。就寝直前に行うことで、睡眠中のこむら返りリスクを下げることができます。
1日1.5〜2リットルを目安に水分を取ることを意識してください。一度にたくさん飲むより、こまめに少量ずつ摂る方が吸収率が高まります。食事ではマグネシウムを多く含む食材(豆類・ナッツ・海藻・葉野菜)を意識して取り入れましょう。カルシウムとマグネシウムはセットで摂ることで吸収率が上がります。
左側を下にした横向き姿勢は、子宮による静脈圧迫を軽減するとされています。足の間にクッションや抱き枕を挟むことで、股関節・膝・足首のラインを揃えて筋肉への負担を均等にすることができます。足元に薄いクッションを入れて少し高くすることも、就寝中のむくみと血行不良の予防に役立ちます。
妊娠中のこむら返りは、体がいろいろな変化に対応しようとしているサインでもあります。骨盤のバランスが乱れていることがこむら返りの背景にある場合は、セルフストレッチだけでは改善しにくいことがあります。当院の妊婦中の方への施術では、妊娠週数・お体の状態を確認しながら、骨盤・背骨のバランスを整えて下半身への血行を促すアプローチを行っています。「いつも同じ側がつる」「食事や水分に気をつけてもなかなか改善しない」という場合は、体のバランスからアプローチすることが改善への近道になることがあります。
骨盤のバランスのことでも、むくみや血行のことでも、気になることがあればいつでもご連絡ください。赤ちゃんと一緒に、できる限り楽な妊娠期間を過ごしていただけるよう一緒に考えます。

