
院長:高木お気軽にご相談ください!


こんにちは。「大会が近いのに走ると膝が痛い」「安静にすれば治るけどまた走ると同じ場所が痛くなる」と悩んでいませんか。ランニング中や走った後に膝が痛くなるというご相談は、当院にも多くいただきます。
走ることをやめたくない。でも悪化して本番前に走れなくなるのは怖い。そのどちらの気持ちもよくわかります。まず痛みの場所と原因を正しく把握することが、最も早い解決への第一歩です。


ランニングによる膝の痛みは、放置すれば慢性化しますが原因を特定して正しく対処すれば多くの場合改善できます。
ランニング中や走った後の膝の痛みは、痛みが出る場所によって関与している組織と原因が異なります。「膝が痛い」という一言でまとめてしまわず、どこが・どんな時に・どんな痛みかを把握することで、対処の方向性が大きく変わります。自分の痛みの場所を確認しながら読み進めてみてください。
ランナーに最も多い膝の故障が、腸脛靭帯炎です。俗に「ランナー膝」とも呼ばれます。腸脛靭帯とは骨盤の外側から膝の外側に向かって走る長い靭帯で、ランニングの際に膝の屈伸を繰り返すことで大腿骨の外側突起と摩擦し続け、炎症が起きます。走り始めは平気だが一定距離(7〜10km前後)を過ぎてから外側が痛くなるという症状が典型的なパターンです。距離を増やした・坂道練習を取り入れたタイミングと重なることが多いです。
膝の内側の痛みは、鵞足(がそく)と呼ばれる筋肉の付着部への炎症が代表的です。鵞足は縫工筋・薄筋・半腱様筋という3つの筋肉が集まって脛骨の内側に付着する部位で、膝の内旋・外旋動作が繰り返されることで炎症が生じます。O脚傾向のある方・足が内側に倒れやすい方(回内足)に起きやすいとされています。
お皿の下にある膝蓋腱への繰り返しの牽引ストレスによって炎症が起きるのが膝蓋腱炎です。ランニングよりもジャンプ動作の多いスポーツに多いですが、坂道の多いコースを走るランナーや大腿四頭筋が過緊張している方にも見られます。階段の下りや走り始めにお皿の下が痛むという症状が典型的です。
お皿(膝蓋骨)の裏側や周囲が走った後に痛む場合は、膝蓋大腿関節への負担が関与していることがあります。長時間のランニング後や坂道の下りで悪化しやすく、膝蓋骨の動きの乱れが摩擦や圧迫を生じさせることが原因です。前ももの硬さや股関節の機能低下が背景にあることが多いです。
「大会が近いのに休むのは難しい」という気持ちはよくわかります。ただ無理を続けることで慢性化し、本番前に完全に走れなくなるリスクがあることも知っておいてください。以下の基準を参考に、自分の状態を冷静に判断してみてください。
走り始め10〜15分は違和感があるが走り続けると痛みが緩和される、ランニング後1〜2時間で痛みが治まる、翌日には痛みがほぼない、という状態であれば距離と強度を落として継続できる可能性があります。ただしこの場合もフォームの見直しとセルフケアを同時に行うことが条件です。
以下の状態が当てはまる場合は、トレーニングを一時中断して専門家への相談を検討してください。
膝の腫れや熱感・膝が抜ける感覚がある場合は靭帯や半月板の損傷が疑われます。この状態での継続は危険ですので整形外科への受診を優先してください。
「走るのを完全に休む」以外にも、今日からできるケアで痛みの進行を防ぎながら状態を改善できることがあります。炎症が強い(腫れ・熱感がある)時はアイシングを優先し、温めるケアは炎症が落ち着いてから行ってください。
腸脛靭帯炎の改善には、腸脛靭帯そのものをほぐすよりも、その緊張を生み出している大腿筋膜張筋・中殿筋・大腿四頭筋の柔軟性を高めることが有効です。フォームローラーで太もも外側をゆっくりほぐし、股関節外転筋(中殿筋)を強化するヒップアブダクションを取り入れましょう。腸脛靭帯炎は「走り込めば慣れる」という性質のものではなく、根本の筋力バランスを整えないと繰り返します。
鵞足炎には、鵞足を構成する3つの筋肉(縫工筋・薄筋・半腱様筋)のストレッチと、膝の内旋を生みやすい足部アーチの改善が有効です。足の内側アーチをサポートするインソールの使用も検討に値します。O脚や回内足が強い場合は骨格的なアプローチが根本改善につながります。
ランニング中の膝への負担を根本から減らすためには、フォームの確認が欠かせません。特に確認すべきポイントは、着地時に膝が内側に入っていないか(ニーイン)、オーバーストライドになっていないか(着地位置が体の前方すぎる)、着地時に上体が前傾しすぎていないかという3点です。スマートフォンで後ろ・横からランニングフォームを撮影して確認することを強くおすすめします。
セルフケアとフォーム修正を試みても改善しない膝痛は、体の構造的な問題が根本にあることがほとんどです。当院では膝の痛みに対して、膝だけでなく足部・股関節・骨盤・脊椎という連動した体全体の構造を把握したうえでアプローチしています。
骨盤の歪みや股関節の機能不全があると、ランニング中に膝が内旋・外旋するストレスが増幅されます。骨盤・仙腸関節・股関節の動きを整えることで、膝関節にかかる繰り返しのストレスが軽減し、同じ練習量を続けても痛みが出にくい体に変わっていきます。「整形外科や整骨院に行っても繰り返す」という経験がある方には、このアプローチが特に有効です。
走ることで膝が痛くなるのは、体が出している「何かを変えてほしい」というサインです。我慢して走り続けることも、完全に走るのをやめることも、どちらも最善ではありません。正しい原因への対処が、最短で走れる状態に戻るための道です。大会への思いを諦める前に、ぜひ一度ご相談ください。

