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赤ちゃんがいつも同じ方向ばかり向いて寝ていると、「このままで良いのかな?」と心配になる方も多いのではないでしょうか。毎日近くで見ていると少しの違いにも敏感になってしまいますよね。
実際、赤ちゃんの向きの癖と頭の形は切っても切れない関係です。この記事では、なぜ向き癖ができるのか、どうして早めの改善が大切なのか、そして気になる成長発達までをお伝えします。




頭の形だけでなく、今後の発達に関わる影響と改善方法をお伝えします
赤ちゃんが特定の方向ばかり向いて寝てしまう理由にはいくつかの要素があります。第一に、まだ首や背中・体幹の筋肉が未発達で、姿勢を自分で調整することが難しいためです。
特に狭い子宮の中では長期間同じ体勢になりやすく、その時から向き癖がついてしまい出生後もそのまま残ってしまうことがあります。また、吸引分娩や鉗子分娩の影響で頭の形が変形してしまうことによって産後早期は赤ちゃん自身にとって“楽な方向”が定まり、そちらばかり向くという「向き癖」になりやすいのです。
さらに、日常の環境要因も向き癖に大きく影響します。例えば、お母さんやお父さんがいつも同じ側で抱っこや授乳をしたり、寝かせる位置や光の方向、おもちゃの配置などが固定されている場合、赤ちゃんは自然と同じ方向を向きやすくなります。赤ちゃん自身が明るい場所や人の気配のする方向を好んで顔を向けることもよくあります。
さらに、筋肉が一部固くなっている「筋性斜頸」という状態が隠れている場合もあり、こうした場合は首が動かしづらく、結果として同じ向きで寝てしまいます。
向き癖をそのままにしておくと、赤ちゃんの頭の柔らかさゆえに同じ部分に継続して力がかかり「頭の形がゆがむ」リスクが高くなります。
さらに、顔の筋肉の発達も左右差が生じてしまい、将来的な噛み合わせや表情・耳の高さのズレにもつながることがあります。このゆがみは見た目だけでなく、今後の発達全般や運動能力にまで影響をおよぼすこともあるので、早めの対応が最も大事なのです。
向き癖を放っておくと頭の形だけでなく、身体のバランスや運動発達にもさまざまな影響が見られます。
例えば、寝返りやずりばいなどの動きが一方向に偏り、姿勢保持が不安定になったり、歩行時のバランス感覚の取りにくさにつながることもあります。いつも同じ側に体重がかかるので骨盤や股関節の可動域の左右差ができやすくなり、さらに視覚や聴覚刺激の偏りが起こりやすくなります。
これらが積み重なると就学後にも不器用さや姿勢不良として現れる可能性もあるとされています。無意識のうちに運動機能や感覚の発達の左右差が生じやすい点も、大きな注意ポイントと言えるでしょう。
赤ちゃんの成長過程では、首すわり・寝返り・ずりばいといった発達課題をバランスよく順番に経験することが大切です。
しかし向き癖による身体の左右差が強いと、首や肩の筋肉の発達も同じように左右差が強く出てきます。この状態が続くと、寝返りやずりばい、はいはいといった動きが左右均等にできず、発達全体に遅れやアンバランスが生じる可能性があります。
また、特定の方向にしか体や目や耳が向かないことで、脳への情報の入力(視覚・聴覚・触覚)が偏り、世界の半分しか体験できないような状況になるとも言われています。“回転”や“姿勢保持”といった運動発達にも左右差が現れることがあり、骨盤や股関節の可動域、歩行時のバランス感覚といった将来的な運動能力にも影響します。
生後すぐから向き癖は起こります。寝かせる位置は頭側と足側の方向を毎回変える。特に上の子がいる場合は、遊んでいる音が気になってそちらを向くため、偏らないよう左右交互に見られるようにしてあげると左右差が付きにくくなります。
抱っこや授乳の際に横抱きをする際は、赤ちゃんの内側の腕を下におろしてしまいがちですが、赤ちゃんの体がねじれた体制になってしまうため、赤ちゃんの腕が体の真ん中に来るようにしてあげると良いです。
おもちゃであやす時には、向くのが得意な方から苦手な方へゆっくりと誘導してあげる。苦手な方でじっと注視をさせてあげる。タミータイムを取り入れるなど環境作りによる予防・改善はとても効果的です。また、遊ばせるときは苦手な方へ長時間向かせてしまうと疲れてしまうので、様子を見ながら行ってあげてください。
赤ちゃんの向き癖は誰にでも起こりうる自然な現象です。しかし放っておかずに、少しずつ日々のケアを積み重ねていくことが、お子さんの今後の健やかな発達につながります。
頭の形や身体の変化について不安がある場合は、お気軽にご相談ください。どんな小さな疑問でも、一緒に解決できるサポートをしています。

