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お座りはできるのにハイハイをせず、お尻で移動する我が子を見て「なぜこんな動き方をするのだろう」とかわいい動きの一方で心配になっていませんか。周りの同じ月齢の赤ちゃんがハイハイをしている中で、自分の子だけ違う移動方法をしていると不安になりますよね。
お尻で移動するシャフリングベビーという移動方法は、決して珍しいものではありません。でもなぜそのような動き方をするのか、発達に問題はないのか、いつ歩けるようになるのかと、疑問や不安がたくさん湧いてきますよね。
今日はシャフリングベビーになる理由や原因、そして親としてどう対応すればよいのかについて、わかりやすくお伝えしていきますね。
シャフリングベビーとは、ハイハイをせずにお座りの姿勢のままお尻を使って移動する赤ちゃんのことを指します。英語のシャフリング(shuffling)には「足を引きずって歩く」という意味があり、お尻をずりずりと動かして移動する様子からこの名前がつけられました。
通常の赤ちゃんは生後7〜8ヶ月頃にお座りができるようになり、その後ハイハイを経て1歳前後で歩き始めるという発達過程をたどります。しかしシャフリングベビーの場合は、お座りはできてもうつ伏せの姿勢を嫌がり、四つん這いになることなくお座りの姿勢で移動を始めるのです。
医学的には「いざり這い」や「座位移動」とも呼ばれるこの移動方法は、赤ちゃん全体の約5〜10%に見られると言われています。決して異常な発達ではなく、発達のバリエーションの一つとして捉えられています。
シャフリングベビーの移動方法にはいくつかのパターンがあります。お座りの姿勢で両手を床につきながらお尻を前後に動かすタイプ、片方のお尻だけを使って回転するように移動するタイプ、足の裏を床につけて手も使いながら進むタイプなど様々です。
共通しているのは、うつ伏せの姿勢を避けて移動しようとする点です。寝返りはするけれどもうつ伏せの状態でじっとしていることを嫌がったり、うつ伏せにすると泣いて抵抗したりする様子が見られることが多いのです。
実は医学的にシャフリングベビーになる明確な原因は完全には解明されていません。ただしいくつかの要因が関係していると考えられています。遺伝的な要因、体質的な特徴、環境的な影響などが複合的に絡み合っているとされているのです。
一つ目の要因として、遺伝的な傾向が挙げられます。親や兄弟姉妹にシャフリングベビーだった人がいる場合、その子どもも同じような移動方法をする可能性が高いことがわかっています。家族性があるということは、身体の使い方や動きの好みに遺伝的な傾向があることを示唆しています。
二つ目の要因は、筋肉の緊張度の違いです。シャフリングベビーの中には、筋緊張が低めの赤ちゃんが多いと言われています。筋肉の張りが弱いため、体重を支えて四つん這いになることに抵抗を感じ、お座りの姿勢の方が安定して楽だと感じるのです。
三つ目の要因として、赤ちゃんの性格や気質も関係していると考えられています。慎重な性格の赤ちゃんは、バランスが不安定になるうつ伏せの姿勢よりも、安定したお座りの姿勢を好む傾向があります。自分にとって心地よい姿勢を選択しているとも言えるのです。
四つ目の要因は、育児環境です。現代の育児では、うつ伏せ寝による乳幼児突然死症候群のリスクを避けるため、仰向けで寝かせることが推奨されています。そのためうつ伏せの姿勢で過ごす時間が昔に比べて少なくなり、結果としてうつ伏せの姿勢に慣れにくい赤ちゃんが増えているのではないかという指摘もあります。
五つ目の要因として、関節の柔軟性が関係している場合もあります。股関節がとても柔らかい赤ちゃんは、お座りの姿勢で足を広げることが楽にできるため、その姿勢での移動を選択しやすいのです。逆に関節が硬めの場合は、四つん這いの姿勢が取りにくいということもあります。
シャフリングベビーと聞いて、多くのお母さんが一番心配されるのが「発達障害と関係があるのではないか」ということです。この不安な気持ちは本当によくわかります。結論から申し上げますと、シャフリングベビーであることそのものは発達障害の兆候ではありません。
シャフリングベビーの大多数は、その後の発達も順調で、歩き始めた後は他の子どもたちと変わらず成長していきます。移動方法が違うというだけで、知的発達や運動能力に問題が生じるわけではないのです。
ただし注意していただきたいのは、シャフリングベビーの中にごく一部ですが、筋緊張の低下を伴う疾患や発達の遅れが隠れている場合があるということです。そのため他の発達の様子もあわせて観察することが大切になります。
例えば首のすわりが遅かった、お座りができるようになる時期も遅かった、ミルクや離乳食の飲み込みが弱い、表情が乏しい、視線が合いにくい、呼びかけへの反応が薄いなど、他の発達面でも気になる点が複数ある場合は、一度小児科医や保健師に相談されることをおすすめします。
逆に言えば、シャフリングベビーであっても、視線が合う、笑顔が豊か、手を伸ばしておもちゃを取ろうとする、人の声に反応するなどの発達が順調であれば、過度に心配する必要はないということです。移動方法の個性として見守っていくことができます。
シャフリングベビーの場合、歩き始める時期は一般的な赤ちゃんよりも遅くなる傾向があります。通常の赤ちゃんが1歳前後で歩き始めるのに対し、シャフリングベビーは1歳半から2歳頃に歩き始めることが多いのです。
これはハイハイという移動方法を経験しないため、全身の筋肉を使ったバランス感覚の発達や、腕で体重を支える経験が不足していることが関係しています。そのため立位や歩行に必要な筋力やバランス能力の獲得に時間がかかるのです。
でも心配しないでください。歩き始める時期は遅くても、一度歩き始めてしまえば他の子どもたちと変わらず成長していきます。運動能力に問題が残るということはほとんどありません。
シャフリングベビーでも、1歳から1歳半頃になるとつかまり立ちや伝い歩きを始めます。最初は足の裏を床につけることを嫌がったり、立つことに慎重になったりする子もいますが、徐々に慣れていきます。伝い歩きをしっかりと経験することで、歩行に必要な筋力とバランス感覚が育っていくのです。
シャフリングベビーだからといって、特別な治療が必要なわけではありません。基本的には見守りながら、赤ちゃんの発達を促すような関わりを日常の中で取り入れていくことが大切です。
まず意識していただきたいのは、うつ伏せで過ごす時間を少しずつ増やすことです。いきなり長時間うつ伏せにするのではなく、機嫌の良い時に短時間から始めてみてください。うつ伏せの姿勢で顔を上げる動作は、首や背中、腕の筋肉を鍛えるのにとても効果的なのです。
赤ちゃんの目の前におもちゃを置いて、手を伸ばして取ろうとする動作を促すのも良い方法です。少し手の届かない距離におもちゃを置くことで、前に進もうとする動機づけにもなります。ただし嫌がる場合は無理強いせず、楽しい雰囲気の中で行うことが大切です。
お風呂上がりなど身体が温まっている時は、筋肉が柔らかくなっているので身体を動かすのに良いタイミングです。足の裏を優しくマッサージしたり、足の裏に手のひらを当てて蹴る動作を促したりすることで、足を使う感覚を育てることができます。
また裸足で過ごす時間を増やすことも効果的です。靴下を履いていると床の感覚が伝わりにくく、足の裏の感覚が育ちにくくなります。家の中では裸足で過ごすことで、足の裏からの感覚入力が増え、立位や歩行の準備につながります。
何よりも大切なのは、焦らずに赤ちゃん自身のペースを尊重することです。周りの子と比べて「まだハイハイしない」「まだ歩かない」と心配になる気持ちはよくわかります。でも赤ちゃんにはそれぞれの発達のペースがあり、その子なりの成長の道筋があるのです。
無理にハイハイをさせようとしたり、早く歩かせようと焦ったりすることは、かえって赤ちゃんにプレッシャーを与えてしまいます。楽しい雰囲気の中で、自然に身体を動かす機会を増やしていくという姿勢が大切です。
当院では、シャフリングベビーをはじめとする赤ちゃんの発達や身体の使い方に関する相談も受け付けています。身体の状態を丁寧に観察し、筋緊張のバランスや関節の動き、姿勢の特徴などを確認させていただきます。
赤ちゃんの身体はとても繊細ですので、優しく穏やかな施術で身体のバランスを整えていきます。うつ伏せの姿勢が楽になるように首や背中の緊張を和らげたり、足の裏への感覚入力を促したりする働きかけを行います。
また日常生活の中でできる遊びや関わり方についても、具体的にアドバイスさせていただきます。お母さんの不安な気持ちに寄り添いながら、赤ちゃんの発達をサポートしていくことが私たちの役割だと考えています。
シャフリングベビーという移動方法は、発達のバリエーションの一つです。多くの場合は経過を見守っていくことで自然に歩けるようになりますが、やはり親としては心配になりますよね。インターネットで調べれば調べるほど不安が大きくなってしまうこともあると思います。
一人で悩みを抱え込まず、気になることがあればいつでもご相談ください。同じような経験をしている他のお母さんたちもたくさんいらっしゃいます。お子さんの発達について、そして育児の不安について、一緒に考えていきましょう。あなたの子育てを全力でサポートさせていただきます

