
院長:高木お気軽にご相談ください!
赤ちゃんの首すわりや寝返りを促したい、さらに頭の丸みや向きのくせも整えてあげたい。そんな時に「タミータイム」という言葉を一度は聞いたことがあると思います。どんなことをいつからどのくらい始めればいいのか、詳しく知りたい方も多いのではないでしょうか。
首がまだ安定していない時期の赤ちゃんにうつぶせ姿勢を取り入れるのは、最初はドキドキするかと思います。でも、きちんとポイントをおさえれば、お子さんにとっても楽しくて心地よい時間になります。発達を助けながら頭の形のケアにもつながるタミータイムを、あなたと赤ちゃんのペースで始めていきましょう。


タミータイムは赤ちゃんとママが一緒に楽しめる遊びのひとつだと感じています


タミータイムというのは、赤ちゃんが起きているときに、大人の見守りのもとで短い時間うつぶせ姿勢で過ごす遊びのことを指します。日本語だとただの「うつぶせ」と思われがちですが、発達を助ける意味をもった大切な遊び時間というイメージを持ってもらえるとわかりやすいと思います。
普段はあお向けで過ごす時間が長くなりやすい赤ちゃんですが、うつぶせで過ごすことで、首や背中、お腹の筋肉など、からだの前後を支える筋肉にバランスよく刺激が入ります。顔を持ち上げたり、左右を見回したりする動きの中で、周りの世界に興味を広げていくきっかけにもなります。
また、頭の同じ場所にばかり圧がかかる状態を減らすことができるので、頭の平らさや左右差をやわらげたり、悪化を防いだりする役割も期待できます。タミータイムは発達と頭の形の両方をサポートするために、海外でも早くから取り入れられている関わり方です。
うつぶせの姿勢では、赤ちゃんは自然と頭を持ち上げようとするので、首の筋肉や背中の筋肉がよく働きます。こうした体験の積み重ねが、首がしっかりと安定していく土台になっていきます。
さらに、首が安定してくると、今度は肩周りや体幹の筋肉が動きやすくなり、寝返りやずりばい、はいはいへとつながっていきます。あお向けのままでも発達は進みますが、うつぶせの経験が多いお子さんほど、からだ全体を使う動きがスムーズになる印象があります。
もちろん個人差はありますが、「まだ寝返りができないからうつぶせは早い」というわけではなく、むしろ寝返り前の時期から少しずつうつぶせ遊びに慣れておくことが、次の発達のステップを助けてくれます。短い時間からでも、毎日の生活に上手に取り入れていきたいですね。
長い時間同じ向きで眠ったり、あお向けで過ごす時間が多かったりすると、どうしても後頭部の一部に体重がかかりやすくなります。結果として、後ろ側が平らになってきたり、左右の丸みが違って見えたりといったお悩みにつながりやすくなります。
うつぶせ遊びをこまめに取り入れると、あお向けで後頭部にかかっていた圧を一時的に減らすことができるので、頭の丸みがつくられる方向を少しずつ整えていくことができます。完全に治すというより、今後ゆがみが強くならないように、負担のかかる部位を分散してあげるイメージです。
当院でも頭の形のご相談を受ける際には、寝かせ方の工夫と一緒に、日中の過ごし方としてうつぶせ姿勢の取り入れ方をお伝えをしています。ご家庭でできることのひとつとして知っておくと、ママやパパの安心感にもつながります。
タミータイムを始めるタイミングは、「首が完全にすわってから」と思われている方も多いのですが、実はもっと早い時期から少しずつなら取り入れることができます。ただし、月齢やその子の様子に合わせて、無理のないペースで行うことが大切です。
ここでは目安としてのスタート時期や時間の感覚をお伝えしますが、あくまで基準としてとらえて、「うちの子は今どうかな」とお子さんのサインを見ながら調整してあげてくださいね。機嫌が良いときに短時間から試してみることが、タミータイムを好きになってもらうコツです。
| 月齢の目安 | タミータイムのイメージ | 1回の時間の目安 |
|---|---|---|
| 生後1〜2か月ごろ | ママの胸の上などで軽いうつぶせ遊び | 数十秒〜1分程度から |
| 生後3〜4か月ごろ | マットの上で顔を上げる練習 | 1〜3分程度を数回 |
| 生後5〜6か月ごろ | おもちゃで遊びながらのうつぶせ | 3〜5分程度を数回 |
この表はあくまで参考のイメージで、すべてのお子さんに当てはまるわけではありません。生後間もない時期は、授乳のあとに肩にかつぐように抱っこして、そこから少し胸を下にする体勢だけでも立派なうつぶせ遊びになります。
慣れてきたら、日中の元気な時間に、プレイマットや布団の上で少しだけうつぶせを試してみましょう。1日まとめて長くやるよりも、短い時間を何回かに分けてあげるほうが、赤ちゃんにとっても負担が少なく、発達への良い刺激になりやすいです。
新生児期を過ぎて、少しずつ生活のリズムが整ってくるこの時期は、まず「うつぶせそのものに慣れる」ことを目標にしましょう。まだ首は不安定なので、床の上ではなく、ママやパパの胸の上でうつぶせ気味になってもらうだけでも十分です。
抱っこの延長のような感覚で、お互いのぬくもりを感じながらできるので、赤ちゃんも安心しやすく、ママやパパの不安も減らしながら始められます。数十秒から1分ほど行い、疲れてきたり顔色が変わったりしたらすぐに体勢を変えてあげてください。
この頃は「頑張ってトレーニングをする」というより、心地よいスキンシップのひとつとしてうつぶせを取り入れるくらいの気持ちで大丈夫です。赤ちゃんの様子をよく観察しながら、少しずつ回数を増やしていきましょう。
生後3か月を過ぎると、首がかなりしっかりしてくるお子さんも増えてきます。この時期になると、床やマットの上でうつぶせ姿勢をとっても、顔を上げて周りを見渡そうとする動きが増えてきます。おもちゃやママの顔を目印にして、誘ってあげると良いですね。
この頃は1〜3分、慣れてきたら5分くらいを目安に、赤ちゃんの機嫌が良いタイミングで何度か行うと良いでしょう。時間をきっちり計るというより、「ちょっと疲れてきたかな」「顔が真っ赤になってきたな」と感じたら、そこで切り上げるくらいのゆったりとした基準で構いません。
寝返りが近づいてくると、自分からうつぶせになってしまうことも増えますが、必ず大人がそばで様子を見守ることが大切です。日中のタミータイムでうつぶせ姿勢に慣れておくと、寝返りをしたあともからだの使い方が分かりやすくなるお子さんが多い印象です。
タミータイムを取り入れるときに、保護者の方がいちばん心配されるのが安全面だと思います。うつぶせ姿勢は、寝ているあいだには避けたい姿勢ですが、起きている時間に大人がきちんと見守りながら行えば、赤ちゃんにとって良い刺激になります。
ここでは、具体的な環境づくりのポイントや、準備しておくと安心なものについて整理していきます。すべてを完璧にそろえなくても大丈夫なので、できるところから取り入れてみてくださいね。
タミータイムを行う場所は、赤ちゃんが転がっても危なくない、広めのスペースを確保することが大切です。リビングの一角など、家族の様子を感じられる場所だと、赤ちゃんも安心しやすいですし、ママやパパも見守りやすくなります。
床の上に直接寝かせるよりも、クッション性のあるプレイマットや固めのお布団の上のほうが、体への負担が少なくなります。あまりふかふかしすぎると顔が沈み込みやすくなるので、適度な弾力があるものを選ぶと安心です。
また、赤ちゃんの顔の近くに小さなおもちゃやガラガラを置いてあげると、興味を引きやすくなります。ただし、口に入れてしまいそうな小さいパーツがあるものや、顔にかぶさってしまいそうな大きな布などは避けてくださいね。
タミータイムをするときに必ず意識してほしいのは、「起きている時間に、大人がそばで見守りながら行う」という一点です。赤ちゃんがそのまま眠ってしまった場合には、うつぶせの姿勢を続けず、あお向けに体勢を変えてあげてください。
授乳やミルクの直後は、お腹が苦しくなったり、吐き戻しにつながることがあるので、少し時間をおいてから始めるようにしましょう。また、服装は動きやすい薄手の肌着やロンパースなど、からだの動きを妨げないものが向いています。
うつぶせの最中に、顔がマットに押しつけられていないか、息がしにくそうでないかを、こまめにチェックしてあげることも大切です。赤ちゃんが苦しそうにしていたり、泣き方がいつもと違うと感じたら、その時点で体勢を変えてあげてください。
「タミータイムが大事なのはわかるけど、うちの子はうつぶせにするとすぐ泣いてしまって続かない」というご相談は、本当に多くいただきます。決して特別なことではなく、多くの赤ちゃんが最初は慣れない姿勢にびっくりして嫌がるものです。
ここからは、嫌がるときに試してもらいたい工夫や、「どこまで頑張って続けたらいいのか」という目安についてお話ししていきます。頑張りすぎてママが疲れきってしまっては、元も子もありません。一緒に楽しめる範囲を探していきましょう。
床の上でうつぶせにすると、視界ががらりと変わって不安になる赤ちゃんも少なくありません。そんなときは、まずママやパパの胸の上を使ってみるのがおすすめです。大人が仰向けになり、その上に赤ちゃんをうつぶせ気味にのせてあげるイメージです。
顔を近づければ、赤ちゃんは安心できる大人の表情をすぐに確認できますし、声かけもしやすくなります。目を合わせながら歌をうたってあげたり、おしゃべりをしたりすると、赤ちゃんにとっても楽しい時間になりやすいです。
こうしたスキンシップを通してうつぶせの感覚に慣れてきたら、少しずつマットの上でのタミータイムにも挑戦してみましょう。最初から完璧にやろうとせず、「抱っこの一種」と考えてもらうと気持ちがラクになると思います。
うつぶせにした途端に顔を真っ赤にして強く泣き始める場合は、その時点でいったん終了して大丈夫です。嫌がっている時間を無理に引き延ばしてしまうと、うつぶせそのものが「嫌なもの」として記憶されてしまい、次からさらに難しくなってしまうことがあります。
最初は数秒しかできなくても、その短い時間の中で「今日もよく頑張ったね」と声をかけて終わりにしてあげてください。その積み重ねが、赤ちゃんの自信にもつながっていきます。同時に、ママやパパが「これくらいでやめてもいいんだ」と思えると、気持ちもぐっとラクになります。
反対に、軽くぐずる程度で、ママやパパの声かけやおもちゃで注意がそらせるようであれば、様子を見ながら少しだけ続けてみても良いでしょう。いずれにしても、「赤ちゃんと相談しながら決めていく」くらいの感覚がちょうど良いと感じます。
ここまで、タミータイムの意味や始め方などをお話ししてきました。最後に、毎日の生活の中でタミータイムを取り入れていくときに、いちばん大切にしてほしいことをお伝えします。
それは、「時間の長さや回数だけにとらわれず、赤ちゃんとママ・パパが笑顔でいられる範囲で続けていく」ということです。発達も頭の形も、今日明日で劇的に変わるものではありませんが、小さな積み重ねが必ず未来のからだづくりにつながっていきます。
うまくいかない日があっても、それは自然なことですし、赤ちゃんのご機嫌や体調、ママやパパの疲れ具合によっても、できることは変わってきます。完璧を目指すのではなく、その日できる範囲の中で、「今日はここまでできたね」と一緒に喜べる関わり方を見つけていきましょう。

