
院長:高木お気軽にご相談ください!


「もうすぐ7ヶ月になるのに、まだずりばいをする気配がない」と気になっていませんか。赤ちゃんがずりばいをしない理由のひとつに、その前段階として必要な「左右のバランスをとる力」がまだ育ちきっていないことがあります。
「練習が足りないのかな」「発達が遅れているのかな」とご心配のお母さんに、まずお伝えしたいことがあります。ずりばいは突然始まるものではなく、その前にきちんとしたステップがあります。
順番を知るだけで、今何をしてあげればいいかが自然と見えてきます。焦らず一緒に確認していきましょう。


その順番を大切にしてあげることが、赤ちゃんの体にとって一番の近道です
赤ちゃんの運動発達には、大まかな順序があります。寝返り・腹ばい・ピボットターン・ずりばい・ハイハイという流れが基本です。この中で「ピボットターン」という動きを聞いたことがない方も多いと思いますが、これがずりばいへの移行において非常に重要な橋渡しになります。ずりばいをするために必要な体の土台が、ピボットターンを通じて育まれるからです。
ピボットターンとは、腹ばいの姿勢でお腹を軸にして、くるくると円を描くように方向転換する動きのことです。前には進まず、ぐるっと回るだけに見えるこの動きが、実はずりばいの前段階として欠かせない重要な運動です。生後5〜7ヶ月頃に多く見られます。
ピボットターンをするためには、両腕で上半身を支えながら、左右の腕を交互に動かして体を回転させる必要があります。この動きを通じて赤ちゃんは次の3つの力を育てています。両腕で体重を支える力・左右の腕を交互に使う協調性・体の軸を意識する感覚、この3つです。ピボットターンは「前に進む」練習ではなく「左右のバランスをとりながら体を動かす」練習であり、この力がしっかり育った先にずりばいが始まるという発達の流れがあります。
ずりばいで前に進むためには、右腕を前に出しながら左足で蹴る、次に左腕を出しながら右足で蹴るという、体の左右を交互に使う協調運動が必要です。この「左右を交互に使う」という動きは、ある日突然できるようになるものではありません。腹ばいの中で少しずつ左右のバランスをとる経験を積み重ねた先に、自然と引き出されてくるものです。
左右のバランスをとる力がまだ十分に育っていない段階でずりばいを始めようとすると、うまく前に進めずにその場で足をばたつかせたり、得意な方向にだけ回ってしまったりします。これは練習不足ではなく、体の準備がまだ整っていないサインです。無理に前に進ませようとするよりも、ピボットターンの段階でしっかりと左右のバランスをとる経験を積むことが、結果的にずりばいへの最短ルートになります。
向き癖が続いている赤ちゃんは、首・体幹・骨盤に左右差が生まれやすい状態にあります。左右差があると、腹ばいでも得意な方向にばかり体が向いてしまい、ピボットターンでも一方向にしか回れないという状態になりやすいです。向き癖はずりばいの左右バランスの問題と深く関係しており、ピボットターンがうまくできない背景に向き癖が関与していることはとても多いです。
ずりばいまでの発達の流れを時系列で整理しておきましょう。「うちの子は今どの段階にいるか」を確認することで、今何をサポートしてあげればいいかが明確になります。発達には個人差がありますので、月齢はあくまでも目安として参考にしてください。
| 発達の段階 | 目安の月齢 | この段階で育まれる力 |
|---|---|---|
| 腹ばいで頭を持ち上げる | 生後2〜3ヶ月頃 | 首の筋力・背骨の伸展力 |
| 腹ばいで両肘で支える | 生後3〜4ヶ月頃 | 上半身を支える体幹・両腕の支持力 |
| 腹ばいで両手で支える | 生後4〜5ヶ月頃 | 腕全体の支持力・肩甲骨周りの安定 |
| ピボットターン(軸回転) | 生後5〜7ヶ月頃 | 左右を交互に使う協調性・体のバランス感覚 |
| ずりばい | 生後6〜8ヶ月頃 | 全身の協調運動・空間認識・前進する力 |
ピボットターンがしっかりできるようになることで、体の左右バランスと協調性の土台が整い、ずりばいへと自然につながっていきます。
日常の遊びや関わりの中で、ピボットターンと左右のバランスを引き出すための働きかけを取り入れてみましょう。特別な道具は必要ありません。赤ちゃんが楽しいと感じながら自然に体を動かせる環境を作ることが大切です。
まず基本となるのは、腹ばいの時間を日常の中に積極的に取り入れることです。腹ばいは両腕で体重を支える練習であり、ピボットターンへの準備になります。目を離さない状態で1回3〜5分から始め、赤ちゃんが嫌がらない範囲で少しずつ時間を増やしていきましょう。
腹ばいの状態で、赤ちゃんの斜め前やや横にカラフルなおもちゃや音の出るものを置いてみましょう。手が届かないギリギリの位置に置くことで、赤ちゃんが自然に体を回転させようとします。ポイントは左右どちらの方向にも均等に配置して、両方向への回転を引き出すことです。一方向にしか物を置かないと、得意な方向への偏りをさらに強化してしまうことになります。
向き癖がある場合、苦手な方向から声をかける・授乳時の向きを意識的に変える・おもちゃを苦手な方向の側に置くといった工夫を日常に取り入れましょう。無理に向きを変えようとするのではなく、赤ちゃん自身が自然と苦手な方向へ興味を向けたくなる環境を作ることが大切です。
両手で引っ張り合う遊び・両腕を持ってゆっくり前後に揺らす遊び・両手でつかめるサイズのおもちゃを正面から差し出すといった関わりが、左右均等に上半身を使う感覚を育てます。どちらか一方の手だけを使う遊びに偏らないよう、意識して左右交互に働きかけてみましょう。
腹ばいの時間を増やしたり、おもちゃの配置を工夫したりしても「どうしても一方向にしか回らない」「腹ばいをとても嫌がる」という場合は、体の構造的な偏りが関与しているサインかもしれません。体に構造的な左右差がある場合、表面的な働きかけだけでは根本の偏りには届きにくいからです。
首の骨(頸椎)や骨盤に左右差があると、腹ばいでの姿勢保持・ピボットターン・ずりばいといった動きすべてに影響が出てきます。向き癖が長く続いていた場合、この構造的な偏りが背景にあることがとても多いです。体の構造から整えることで、日常の働きかけの効果も引き出されやすくなります。
当院の施術は5g程度の非常に軽い接触圧で行います。自分の瞼にそっと触れても不快にならない程度の優しさですので、赤ちゃんに痛みや怖さを感じさせることは一切ありません。
体を整えながら、ご家庭でのホームケアもあわせてお伝えします。抱っこの向きや腹ばいへの誘い方など、日常の中で自然に実践できる関わり方を施術と組み合わせることで、赤ちゃんの体の変化をより引き出しやすくなります。
「ずりばいしないのはうちの子だけかな」と一人で抱えていませんか。ピボットターンの段階でしっかり左右のバランスを育ててあげることが、ずりばいへの一番の近道です。気になることがあれば、どうぞ遠慮なくご相談ください。いつでもお待ちしています。

