
院長:高木お気軽にご相談ください!
「四つん這いになったのに、前後にゆらゆら揺れるだけで一向に前に進まない……」そんな様子をじっと見守っているお母さん、いつ動くのかと不安になってきていませんか。
「もうすぐハイハイだ!」と期待していたのに、何日経っても同じ動きを繰り返すばかりで変化がない。心配になってスマホで調べてみたら「ロッキング」「発達障害」「自閉症」という言葉が出てきて、一気に不安になった方もいると思います。
まず安心してください。四つん這いで前後に揺れる行動は、赤ちゃんがハイハイに移行する前に通る自然な準備段階のひとつです。この動きには「ロッキング」という名前がついており、発達の過程でよく見られる行動として知られています。
今回は、この「四つん這いでゆらゆら揺れる行動」とは何か・なぜ起きるのか・いつハイハイに進むのか、そして今日からできる働きかけまでをお伝えします。


不安な気持ちで調べているお母さんにお届けしたいと思います
赤ちゃんが四つん這いの姿勢で体を前後または左右にゆらゆらと揺らす行動のことを、発達の分野では「ロッキング」と呼びます。育児書にはあまり記載がないため、「うちの子だけ?」と感じているお母さんも多いのですが、実はハイハイ前の赤ちゃんに広く見られる自然な行動です。この言葉を知っておくと、これからの情報収集がしやすくなります。
赤ちゃんがこの動きをするのには、体の発達上の理由があります。四つん這いで前に進むハイハイには、手のひらと膝に体重をバランスよく乗せ、体の重心を前にシフトさせる体幹の力が必要です。
ロッキングは、その体幹の力とバランス感覚を養うための「練習」です。前後に揺れることで、手と膝に体重を乗せる感覚・体の重心の移動・左右のバランスを同時に学んでいます。一見その場でただ揺れているだけに見えますが、赤ちゃんの体の中ではハイハイに必要な筋力とバランス感覚が少しずつ育まれています。
赤ちゃんの移動動作の発達は、おおよそ次のような順序で進みます。ロッキングがどの段階にあるかを確認してみてください。
| 動きの内容 | おおよその月齢 |
|---|---|
| うつ伏せで頭を持ち上げる | 生後3〜4ヶ月 |
| ずりばい(うつ伏せで前に移動) | 生後6〜8ヶ月 |
| 四つん這い姿勢をとる | 生後7〜9ヶ月 |
| ロッキング(四つん這いで前後に揺れる) | 生後7〜10ヶ月 |
| ハイハイ(四つん這いで前進) | 生後8〜10ヶ月 |
ロッキングは、ハイハイの直前に位置する自然な準備行動です。この段階をしっかり経験することで、体幹の安定性がより育まれ、ハイハイへとつながっていきます。
「ロッキング」という言葉で検索すると、自閉症や発達障害と関連した記事が上位に出てくることがあります。それを見てさらに不安になってしまったというお母さんも多いと思います。この点はとても大切なところなので、正確にお伝えします。
発達障害(自閉スペクトラム症)の特徴として「体を揺らす行動(常同行動)」が挙げられることがあります。ただし、これはハイハイ前の赤ちゃんが四つん這いで前後に揺れる動きとは性質が全く異なります。発達障害の文脈で語られるのは、幼児期以降に自己刺激のために繰り返される行動のことです。
ハイハイ前のロッキングは体の発達の自然な一過程であり、この動きだけで発達障害を心配する必要はありません。
ロッキング自体は心配いらないケースがほとんどですが、次のような様子が重なる場合は、かかりつけの小児科への相談を検討してください。
こういった様子がなく、表情豊かで視線もよく合う赤ちゃんなら、ロッキングの段階にいることをまず温かく見守ってください。
ロッキングからハイハイへの移行には個人差がありますが、体の状態が影響していることもあります。「何日経っても変わらない」「他の子はもうハイハイしているのに」と気になるときは、体の側面から考えてみることが役立ちます。
ハイハイで前進するには、体幹の力で体の重心を前にシフトさせる必要があります。体幹が十分に育っていないと、四つん這いの姿勢は保てても体重を前に移動させることが難しく、揺れるだけの状態が続きます。
うつ伏せで遊ぶ時間が少なかったお子さんや、体を反らせるクセが強いお子さんに、ロッキングが長めに続くことがあります。
ハイハイで前進するには、右手と左足・左手と右足という対角線上の動きが交互に必要です。向き癖が強い赤ちゃんは体の左右の筋肉にアンバランスがあることが多く、この交互の動きがスムーズに出てきにくいことがあります。
揺れ方が左右で偏っていたり、いつも同じ方向だけに大きく揺れるという場合は、体の左右差が関係していることがあります。
四つん這いで体重を前にシフトさせるとき、股関節と膝が十分に動ける状態であることが必要です。これらの関節に硬さや左右差がある場合、ロッキングからハイハイへの移行が遅くなることがあります。特に股関節の可動域は見た目ではわかりにくいため、専門家に確認してもらうことをおすすめします。
「何もしないで待つより、何か働きかけてあげたい」というお母さんへ。ロッキングからハイハイへの移行を自然に促す関わり方があります。大切なのは赤ちゃんが自分で動こうとする力を引き出すことで、無理に体を動かす必要はありません。遊びの延長として、気軽に取り入れてみてください。
赤ちゃんの手の届く少し先に好きなおもちゃを置いてみてください。「取りたい」という気持ちが体を動かす最大の原動力になります。前に進まなくても、体重を前にかけようとする動きが繰り返されることでハイハイへの移行につながっていきます。
ロッキングしている赤ちゃんの足の裏に手のひらをそっと当てて、「ここを蹴ると前に進めるよ」という感覚をやさしく伝えてあげる方法があります。強く押す必要はなく、蹴りたくなったときに踏める場所があるという安心感を与えるイメージです。
クッションや折りたたんだブランケットで緩やかな下り坂を作り、坂の上からロッキングを始めてもらうと、重力を活かして自然に前への体重移動が引き出されることがあります。「坂を下りる」という動きがハイハイへのきっかけになるケースもあります。
赤ちゃんは見ることでも動きを学びます。お母さんやお父さんが隣で四つん這いになり、手足を交互に動かして前に進む動きをゆっくり見せてあげてください。真似しようとする様子が見え始めたら、ハイハイまであと一歩のサインです。
日常の働きかけを続けながらも「なかなか変化が感じられない」「体の左右差や向き癖が気になる」という場合は、体の状態を専門家に確認してもらうことをおすすめします。当院のベビー整体では、ロッキングが長引く背景にある体のバランスを検査で確認し、ハイハイへの移行を後押しするアプローチを行っています。
施術はわずか5gという非常に軽いタッチが基本です。赤ちゃんに強い刺激を与えることなく、体の緊張・左右差・関節のアンバランスをやさしく解放していきます。生後1ヶ月健診を過ぎた頃から受けていただけます。
院でのケアと並行して、ご家庭でのホームケアの方法もお伝えしています。おもちゃの置き方・足の裏サポートのタイミング・うつ伏せ練習の工夫など、毎日無理なく続けられる内容を一緒に確認しながら進めていきます。
「早くハイハイしてほしい」と思いながら、四つん這いで揺れるだけのお子さんを毎日見守っているお母さん、その気持ちはよくわかります。でも赤ちゃんは今、ハイハイに向けて体を一生懸命準備しているところです。ロッキングの時期は長いようで、振り返ってみるとあっという間です。
体のバランスや左右差が気になるとき、「何かしてあげたい」と感じたとき、一人で抱え込まずにいつでもご相談ください。赤ちゃんの成長を、お母さんと一緒に見守りサポートしていきます。

