
院長:高木お気軽にご相談ください!


こんにちは。お風呂で赤ちゃんの首を洗っていたら「コリコリした硬い塊」が触れて、びっくりしていませんか。向き癖のある赤ちゃんの首にしこりが見つかり、「向き癖は気になっていたけど、まさかしこりまであるとは思わなかった」という方がほとんどです。
まず結論からお伝えすると、このしこりは多くの場合「筋性斜頸」と呼ばれる状態によるものです。正しく理解して早めにケアすることで、改善できる可能性があります。
赤ちゃんの首に触れるしこりと向き癖は、多くの場合同じ原因から生じています。この関係性を理解するためには、首にある「胸鎖乳突筋」という筋肉の役割を知ることが大切です。難しそうな名前ですが、触ってみれば「ああ、ここか」とすぐにわかります。
胸鎖乳突筋とは、耳の後ろの骨(乳様突起)から鎖骨にかけて斜めに走る首の筋肉です。首を左右に傾ける・顔を反対方向に向けるという動作に関与しています。赤ちゃんの首を触った時に「しこり」として感じる硬い塊は、この筋肉の内部または周囲にできた線維化した組織のかたまりです。
しこりが生じる主な原因として、出産時の筋肉へのダメージが挙げられます。分娩の際に頭部や頸部に物理的な負担がかかり、胸鎖乳突筋の一部が損傷・出血し、その後線維化(固まること)してしこりになることがあります。また胎内での姿勢や長期間の同一方向への圧迫によって筋肉が硬縮している場合もあります。このしこりは腫瘍や悪性のものではなく、筋肉組織の変化によるものです。
胸鎖乳突筋にしこりや硬縮がある場合、その筋肉が短縮しているため、顔が特定の方向にしか向きにくくなります。これが向き癖の原因のひとつです。向き癖が強くてしこりも触れる場合は、胸鎖乳突筋の問題が高い確率で関与している筋性斜頸の状態と考えられます。早めに専門家に相談することが大切です。
「筋性斜頸」という言葉を検索で見かけて怖くなっている方も多いと思います。名前だけ聞くと深刻な病気のように感じますが、正しく理解することで必要以上に怖がらなくて済みます。筋性斜頸とは何か、どのような経過をたどるものかを確認しておきましょう。
筋性斜頸とは、胸鎖乳突筋の線維化・短縮によって頭部が患側に傾き、顔が反対側を向く状態を指します。新生児100人に1〜3人程度の割合で発生するとされており、決してまれな状態ではありません。多くの場合は生後数ヶ月以内に気づかれます。
首がすわり、寝返りができるようになることで向き癖が目立たなくなるケースも多くあります。しかし筋肉の硬縮やしこりが残ったまま成長すると、顔の左右非対称・頭の形のゆがみ・目や耳の位置のズレ・歯並びへの影響が残る可能性があります。「様子を見ていたら自然に治った」というケースがある一方で、適切なケアをしなかったために影響が長期間残るケースもあることを知っておいてください。
特に生後6ヶ月頃までは頭蓋骨が柔らかく形が変わりやすい時期です。早めに対処するほど改善までの期間が短くなるのが、向き癖ケアの大原則です。
専門的なケアと並行して、日常の関わり方の工夫も向き癖の改善に役立ちます。難しいことは必要ありません。毎日の授乳・抱っこ・遊びの中に少しだけ意識を加えるだけです。
赤ちゃんが向きやすい方向と反対側から、声をかけたり・おもちゃを見せたり・授乳する方向を変えたりしてみましょう。「見たい・聞きたい」という自然な動機が、赤ちゃん自身に苦手な方向を向こうとする力を引き出します。強制的に首を向けさせるのではなく、自分から動きたくなる環境を作ることが大切です。
布団やベッドに対して、赤ちゃんの頭の位置を日替わりで左右交互に変えてみましょう。親の顔・光・音がある方向を向くという自然な行動が、向き癖の偏りを和らげることにつながります。
いつも同じ腕で抱っこしていませんか。利き腕や授乳習慣で偏りが生じやすいですが、意識的に左右交互に抱っこする習慣が体のバランスを整えることに役立ちます。
当院では1ヶ月健診後から向き癖のケアに対応しています。首のしこりや向き癖が気になった時、「まだ小さいから」と待たずにできるだけ早くご相談いただくことをおすすめします。体が柔軟な早い時期ほど、変化が出やすく改善までの期間も短くなります。
施術だけでなく、ご家庭でできるポジショニングの工夫・抱っこの仕方・日常の関わり方についてもお伝えします。毎日の積み重ねが改善を早めることにつながりますので、親御さんと一緒に取り組む体制を大切にしています。
赤ちゃんの首にしこりを発見した時の驚きと不安、本当によくわかります。でも正しい原因を知ることで、必要以上に怖がらなくて済みます。向き癖もしこりも、早めにケアすれば改善できることが多い状態です。「様子を見てと言われたけどやっぱり気になる」という方も、どうかひとりで悩まずにご相談ください。

